神道のお葬式について
神葬祭(しんそうさい)についてはあまり一般に周知されておらず、代々神道葬の家においても戸惑う場合が多いようです。
葬祭は地方によって様々な慣習があり、一律に判断する事も困難な場合があります。
神道の形式で行われる葬儀は「葬場祭(神葬祭)」といいます(通夜は「通夜祭」)が、仏教伝来以前から
すでにあったことが古事記等の古典に記されています。
神葬祭では故人の御霊をその家にとどめて、守護神になってもらうための儀式です。
神式は葬儀を神社で行なわず、自宅や斎場で行ないます。神道では人が死去することを「帰幽(きゆう)」といいます。
そこで「神葬祭」では帰幽報告の儀にはじまり、枕直し、納棺、通夜祭及び遷霊(せんれい)祭、葬場祭、火葬祭、埋葬祭、
帰化祭をもって終了します。
ご葬儀は斎主様や葬儀社の方で式次第どおり滞りなく進めさせていただきますが、その後の祀り方について、
『よく分からない』とのご質問を受けることがあります。
仏式と神式の違いを簡単にご説明します。
仏教の回忌にあたる儀礼は、神道では「霊祭(れいさい)」といいます。
神葬祭が終わると節目ごとに、御霊の遺徳を偲び、一年祭に始まり、三年・五年・十年・二十年・三十年・四十年
・五十年と続き、以後は百年ごとに行います。
これ以外にも、毎年の命日の儀礼は仏教同様に行われます。
一年祭までは神葬祭の延長と考えられ、以後、故人の御霊は祖霊として祀られます。
一年祭が区切りとされたのは、御霊は御霊は帰幽の後、一定の期間は荒々しい状態《荒魂(あらたま)》で、
祖霊として御霊が和み(なごみ)《和魂(にぎみたま)鎮まる期間を、生活の基本単位の1年と定めたことによるものと思われます。
この他に、春季祖霊祭(春分の日)、秋季祖霊祭(秋分の日)、正辰祭(祥月命日)、毎月の1日・15日に月次祭
(つきなみさい)、朝夕に日供を行います。
このように霊祭を続けていくことで、御霊は霊威を増し、神霊へとたかまり、家の守護神として永く子孫を守護するものと考えられています。
年忌祭(ねんきさい)とは仏教でいう法事のことで、先祖代々の御霊(みたま)に対し、子孫が追慕の誠を捧げると共に、
祖先のご加護をお祈りするまつりです。始祖、両親、近親等、祖霊に対して行います。
一年祭、三年祭、五年祭、十年祭、二十年祭、三十年祭、四十年祭、五十年祭を一般的に行います。
注意が必要なのは、年忌祭は仏事と異なり、数え日・数え年ではなく、満何日・満何年で奉仕します。
例えば、仏式の場合三回忌は亡くなってから満2年で行いますが、神道の場合三年祭は満3年で執り行います。
自宅での祀り方ですが、仏式も場合、自分が属する宗派に合った仏壇を購入し宗派のご本尊となる仏像をお祀りします。
その脇にご先祖の位牌を安置して、仏像(仏さま)を通して祖先を想います。
仏像をメインとしたお祀りの為、おもてなしの気持ちから揃える仏壇や仏具もきらびやかなものが目立ちます。
また仏教ではご本尊となる仏像や位牌は目で見てお祈りします。
これに対して神道では、自分たちの祖先が神様そのものと成りそして祖霊舎(それいしゃ)にて祀られます。
直接御霊(ご先祖)と向き合って手を合わせるのです。
用意する祖霊舎、霊代も神道の考えから「偽りのない本当の姿」すなわち「塗装をしない」「生地のまま」の
「穢れのない白い木」白木(桧)作りです。
祖先を想う気持ちが形になったものですので、神具もシンプルで、土から作られた陶器(白い瀬戸物)などで揃えます。
仏式でいう「位牌」に当たるのもが、神式では霊璽(れいじ)です。
神道では、神は神聖なもので直接目にしてはいけないもの(目に見えぬもの)との考えから、仏教の位牌とは違い、
祖霊舎に納める霊代(霊璽=れいじ)には鞘(さや)と呼ばれる蓋が付き、人の目に触れぬように気遣われています。
この鞘は一年365日外すことはほとんどありません。
この点が神道と仏教の大きな違いです。
揃えるものは、
榊(さかき) 一族の繁栄(「さかえる」)を願う
御神酒(おみき) 「いのち」の「ね」である「いね(稲)」から採れるもの
米 大地の恵みの代表
塩 海の恵みの代表
水 すべての生き物の命の源
ローソク 聖域を清める炎
鏡 心の中の神を映し出す
の基本7点です。
御鏡の後ろにある、内扉の中に霊璽(れいじ)をおさめます。
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