成年後見制度をご存知でしょうか?どこか難しそうな響きですが、今後、必要性が高くなると思われる制度です。
加齢により判断力が著しく低下した人や認知症を発症した人を守るために、2000年にスタートした制度で、
その契約数は、毎年二割以上増えています。
もし、私が認知症になったら・・・。誰もがこんな不安をどこかに抱えているものです。
自分が認知症をいつ発症するのか分かっていれば対処のしようもあるでしょうが、
実際は本人は気づかずに進行してから周囲が気づくというケースが多いものです。
もし判断力が低下して、自分の身の回りのことができなくなれば、日常生活を送ることが難しくなるだろうし、
加えて、押し売りや詐欺に遭う可能性も高くなり、大切な財産を失ってしまうことになりかねません。
認知症が進めば、自分の財産を管理することはもちろん、介護サービス・施設と契約したり、遺言書を作ったりすることも不可能になります。
「成年後見制度」はこのような人に保護者を付け、財産を守ると同時に当人の権利を保護し、支援する制度です。
成年後見制度には「法定後見制度」と「任意後見制度」の二種類があります。
法定後見はすでに判断力が低下している人を保護するものです。
家庭裁判所により選ばれた成年後見人、保佐人、補助人が代理として契約や日常の事務的なことや財産管理を代行してくれます。
家族などが家庭裁判所に申し立てをして、後見人を指名してもらいます。
任意後見は、威尼はまだ判断能力は十分にあるが、将来自分の判断能力が低下したときに備えて、
自分が選んだ人に後見人になってもらい、事務の内容を決めて契約してもらうものです。
財産管理はどうするか、どういう施設に入所するか、介護や看護はどうしたいかなど、具体的な事柄を自分の希望で決めることができます。
いわば任意後見は、自分の将来を見通し、自分らしく老いていくことをサポートするための制度といえます。
ただし、任意後見人は事務手続きの代行であって、法律上サポートできない部分もあります。
例えば、重大な手術への同意や延命治療の有無を判断することはできません。
また、実際に介護などを行うのは、依頼したサービス施設や医療機関です。
高齢者のみの世帯で、連れ合いを亡くされた場合、一人残された夫(妻)から自分の時はどうしよう?と相談を受けることがありますが、
まだお元気なうちに任意後見制度を利用することをお勧めしています。
任意後見のメリット
①自分の財産が守れる
自分で選んだ信頼できる相手に通帳や実印の管理を任せられる。
②介護費用、入院費などの手続きを速やかに行える
まとまったお金が必要になったとき、後見人が定期預金の解約や不動産の売却などを代行してくれる。
③家族・親族同士のトラブルから身を守れる
親族間にトラブルが起こったとき、後見人がいれば、不利な状況に立たされる危険性を回避できる。
④日常生活で不自由な面を減らせる
水道や電気といった公共料金、家賃、税金などの振込を後見人に代行してもらえる。
⑤老老介護による不安を避けられる
もし「介護しているほうも認知症になったら・・・」。後見人がいれば介護者自身の生活を守るための
手続きと併せて介護していた家族のために法定後見の手続きをしてもらえる。
次回は任意後見は誰に頼めばいいのか考えてみましょう。
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