任意後見の代理権は通常、「財産管理等の委任契約」の受任者よりも広範にわたります。
また、財産管理等の委任契約は本人の判断能力に問題がない場合に利用されるのに対して、
「任意後見契約」は本人の判断能力が低下した時に利用される契約だということがいちばんの違いです。
任意後見人を誰に頼むか、その判断はより重要になってきます。
一般的には、子どもや配偶者、兄弟姉妹などの親族に依頼する場合が多いですが、
依頼できそうな身内や知り合いがいない場合などは専門知識に通じたプロに頼むこともできます。
遺産分割で揉めそうなら、弁護士不動産を多数所有しているのなら司法書士
一般的な事務手続きと一緒に遺言書の準備も進めたいという人なら行政書士といった具合です。
あるいは、財産の心配よりも看護介護の手続きをしっかりやってもらいたいという場合なら、
社会福祉士や介護関係者に依頼することも考えられます。
財産管理等の委任契約同様、ひとりに限定せず、複数の人に受任者になってもらうことも可能です。
例えば、銀行に勤める長男に財産管理を担当してもらい、長女には看護介護関係の手続きをやってもらうというように分担できます。
重要な案件については、後見人同士で協議してもらうことも可能です。
また、予備的な後見人を別につけることもできます。これは最初に頼んだ人が自分と歳が近いなど、
万が一その人が先に亡くなってしまった場合などに備えて、次の後見人を決めておくというものです。
一方、後見人になれない人もいます。
成人であることが必要条件ですが、そのほかに破産者や本人に対して訴訟を起こしたことがある人、過去に不正な行為がある人、
金銭面にルーズな人などは任意後見人にはなれません。
任意後見人の仕事は、本人の判断能力が低下し、まわりの人が家庭裁判所に申し立てて任意後見監督人が選任されて初めて開始されます。
任意後見監督人は任意後見人の仕事をチェックする役割です。
任意後見人に不誠実な行為があれば、任意後見監督人が家庭裁判所に請求し、任意後見人を解雇できます。
このように万一に備えた仕組みになっていますが、基本的には、あなたがもっとも信頼する人に依頼することです。
次回は任意後見をスタートするタイミングです。
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