各地の家庭裁判所、弁護士、司法書士、税理士、公証人などの団体や、法テラス(日本司法支援センター)などで
相談を受けてくれます。
ほかにも、
◆公益社団法人 成年後見センターリーガル・サポート
司法書士の団体。後見人として司法書士を紹介してくれます。
各都道府県に支部があります。
◆社会福祉協議会
全国、都道府県、市区町村単位で組織。
福祉・介護サービス、要援護者の生活相談や成年後見制度の相談も受け付けています。
知り合いに弁護士や司法書士がいない場合、こういった団体に相談してみましょう。
「任意後見契約」は将来型、移行型、即効型の三タイプがあることを前回説明しましたが、
お勧めしたいのは移行型です。
判断能力が健全なときは「財産管理等の委任契約書」を使い、判断力に問題が出てきたら「任意後見契約書」で
対応できます。どちらかひとつの契約書だけでは、本人を保護できなくなる可能性があるからです。
財産管理等の委任契約書しか作っていないと、判断能力に問題が起こってから法定後見がスタートできるまで
およそ半年間かかります。
任意後見契約書しか作っていなかった場合は、スタートできるまで数ヶ月間は手続き上の期間が必要になります。
この間、判断能力が衰えた人が、後見人に保護されることなく生活しなければならなくなります。
「わざわざ任意後見契約書を作らなくても、財産管理等の委任契約の代理人がいるのなら、
引き続きそれでいいじゃないか?」と思う人がいるかもしれません。
ですが、委任契約は「委任した本人が自らの意思で代理人に指示を出してなにかをしてもらうこと」なので、本人が認知症
になり、その意思が明確でないことを知りながら代理人が勝手になにかを行うわけにはいかないのです。
また、財産管理等の委任契約の内容として、代理人は財産の処分ができないことが多いのです。認知症となれば、
介護費や入院費も高額になります。
施設に入居しようとすればもっとたくさんのお金が必要になります。ところが、委任契約では例えば不動産の売却などの
重要な財産の処分はふつうは認めていません。
もし、勝手に売却を行えば、後日トラブルになる可能性は大きくなります。
だから、財産管理等の委任契約と任意後見契約はなるべく一緒に締結し、
委任契約から後見契約へ速やかに移動できる移行型がベストなのです。
公正証書を作成する際は、この二つの契約書をひとつにまとめて作ることとなります。
公証役場で「移行型でお願いします」と言えば、公証人が「第一 委任契約 第二 後見契約」として
一通の契約書にまとめてくれます。
このようにしておけば、本人の判断能力が実際に低下してきたとき、受任者が「任意後見監督人の選任申立」を
家庭裁判所に行えば、任意後見監督人が選任されて任意後見契約が発効されます。
この間およそ2~3か月かかるので、家庭裁判所への申立は速やかに行いましょう。
次回は申立ての手順を説明します。
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