今回は、財産管理等の委任契約書の作り方について説明します。
「財産管理等の委任契約書」は、私的な契約書なのでその形式は自由です。自分と受任者の二人だけで契約書を作成しても構いません。
しかし、あとで契約書の信頼性や内容についてトラブルになったときに備えるためには、公正証書で作ることをおすすめします。
①まずは委任の内容を決めましょう。
公正役場には契約書の見本があるので、それを参考にするとよいでしょう。
一般的には
◆年金の受け取りや税金の支払いなどの現金の管理
◆金融機関での取引の管理
◆不動産などの管理
◆医療費や生活費などの支払い
◆看護・介護・保険の手続き
◆住民票や戸籍謄抄本などの請求や登記・供託の申請などの役所関係の手続き
◆通帳や印鑑・カードの保管
などが挙げられます。
但し、受任者に勝手に財産を処分されないように、不動産の売買、預貯金を株に投資するなどの権限は与えない方がよいとされています。
②公証役場で作る場合、遺言書の作成と同様に、本人確認のために印鑑証明を用意しておくとよいでしょう。
③公証役場へ行ったら。まずは財産管理等の委任契約書の見本をもらって目を通します。
ほとんどのことが代理できるほど広範囲な代理権目録が書かれているので、不要な項目は削除し、必要だが
載っていない項目があれば付け加えましょう。
例えば、年金の受け取りと家賃の支払いだけを委任したり、入院する予定があれば、その間だけの事務処理
を代理してもらったりすることもできます。
さらに制限して○○銀行の△△名義の口座から毎月○万円だけ引き出して欲しいといったような依頼もできます。
④また受任者にはその都度、依頼者であるあなた、あるいは監督を頼んだ第三者に、依頼内容をどのように処
理したのか報告してもらうよう義務づけておくとよいでしょう。
一番、信頼できる人に頼むのに、そこまで細かく指示するのは、自分がどこか疑いをかけているようで、悪い気がすると感じる人もいるでしょう。
確かにその気持ちはわかりますが、未然にトラブルを防ぎ、周囲から余計な詮索を受けないためにも、なあなあではお願いしないほうがよいです。
⑤受任者と話し合って依頼する内容を決めたら、公証人に書類の作成を依頼し、作成日を予約します。
後日、公証役場から原案を郵送あるいはFAXで送ってもらい、内容が間違っていないか確認して返送します。
⑥予約した日に、委任者と受任者が揃って公証役場へ出かけ、公正証書を作成します。
費用は内容にもよりますが、およそ11,000円程度からです。
⑦契約を開始する日は、委任者がすでに体の自由がきかなくなっていれば即日、将来的に体が不自由になった
ときに委任したい、あるいは入院中だけ委任したいという場合はそれに合わせた開始日、および委任期間の
設定もできます。
次回は財産の管理を誰に頼むかについてです。
家族葬 奈良 ESS