任意後見が開始されたとき、あなたはすでに判断能力が低下した状態のはずです。
いくら信頼した人に任せるとはいえ、判断能力がないあなたを本当にサポートしてくれるのか、
この制度に不安がないわけではないでしょう。
その不安を少しでも解消するために、どのように遂行されるかあらましを説明しておきます。
①まず任意後見人は、あなたの財産目録を作り、介護などのプランニングをはじめ、
これからの収支のシュミレーションを行う。
②それらの計画に従って、毎日の生活費や預貯金の管理、介護サービスの利用申し込みや施設への入居手続き、
さらに収支の記録を管理し、領収書や請求書の保管と事務手続きを行う。
③高額の療養費や施設の入居費を支払うときには、まとまったお金が必要になるが、その際は金融機関との
取引において、「登記事項証明書」という書類が必要になる。
これは任意後見人の氏名や代理権の範囲を示した書類で法務局が発行している。これは不動産の取引でも
同じである。
④そうしてこれらの記録を3か月ごとにまとめて任意後見監督人に報告することになる。
収支の明細を明らかにして書面を提出する。
この報告が不十分だったり、内容が不適切と判断されたりすると改善が求められる。
あまりひどいと任意後見人が解任されることもある。
⑤また、任意後見人に万一のことがあったり、特別の事情が起こったりした場合は、任意後見監督人が代わっ
て行うことができる。
注意点は、この契約を途中で解除するときです。
すでに任意後見監督人が選任されていたら当事者同士で勝手に契約を解除できません。
家庭裁判所が正当な理由と認め、許可を出さない限り、契約の解除はできないのです。
任意後見監督人の選任を受ける前ならば、当事者のどちらかでも公正証書で契約を解除できます。
ただし、委任者と受任者のどちらかが亡くなったり、破産手続きの開始の決定を受けたとき、
受任者の判断能力が低下して後見開始の審判を受けたりしたときなどは契約自体が終了します。
次回は尊厳死宣言書の書き方について説明します。
家族葬 奈良 ESS