◆枕飯ってなに?
まず、枕飯とは
茶碗に盛り切りにした一膳かぎりの飯に箸を 2本 垂直に立てたものです。
作るときは故人が使用していたご飯茶碗を使って、すり切り一杯分の米を量って別釜で炊きます。
炊いたご飯は残さず山盛りに盛りつけて箸を突き立てるようにします。
炊きあがると水分を含んでふっくらするので山盛りに盛り付ける形になります。
ご飯は、正式には普段使っているお釜とは別鍋で炊いて作るのですが、大変なのでみんなのご飯を炊いたときにそちらから頂いても構いません。
子供の頃に食卓で同じ事をやると親から
「 縁起が悪いっ!! 」と怒られた方も多いと思います。
なぜなら これは 死者の物という印であり、一膳飯は 忌みの掛かった物と考えられているからです。
では、どうして枕飯を作るようになったのかというと、枕飯を作る習慣ができた説には主に3つ あります。
①死者を蘇らせる呪術的な役割を果たしていたという説。
昔は白米は貴重品だったので、「 米を食べたさに蘇って欲しい 」と願った 魂呼びの呪法 の意味がありました。
②食物が 肉体 と 魂 を養うという考えから、魂の形にして供えたという説。
③地域によっては、枕団子と枕飯は死後、善光寺詣りに行く道中のお弁当と云う説。
お寺様に意味を聞いてもそれぞれ、違うことをおっしゃいますよ。
どれも間違いということはないので、お供えする側の気持ちとして当てはまるものを信じればいいのではないでしょうか。
◆枕団子ってなに?
枕団子は、仏教の祖であるお釈迦様が涅槃(悟りの世界)に入られるとき、無辺菩薩が香飯を献上したのですが、辞退して食べなかったそうです。
そこで死後に団子を供えたという説に由来しています。
先ほどと同じく、地域によっては、人は亡くなってから善光寺詣りに行くので、その道中のお弁当として枕団子や枕飯を供えると考えられています。
そのほかには、死出の旅の途中で、お腹をすかせた人に分け与えて、功徳を積みながら最後のゴールまでいけるようにとか、いろいろないわれがあります。
一般的に枕団子の数は 六個 が多いようです。
これは 六道といって
地獄 ・ 餓鬼 ・ 畜生 ・ 修羅 ・ 人間 ・ 天上の六世界を巡る象徴とされています。
地域によっては、13個 ( 十三佛 ) や49日分49個作る(49日迄の旅立ちの間、餓鬼や畜生に毎日1個づつ恵み与え布施経を積む) 又、毎日1個づつ49日の忌明けまで作るところもあります。
実際には決まっていないようなので気持ちだけで幾つでもかまわないようです。
枕飯や枕団子を作るのは、できれば他界したその日から作るものとされていますが、通夜の日に作る地域もあります。火葬日まで毎日作りかえて、前日までの枕飯と枕団子は全て半紙等に包みお棺の中に入れます。
使用後の茶碗は出棺の際に割ります。これは決別を死者に悟らせる風習だそうです。
そのため、使用する器は 故人が使用していたものの中でも割って良い小皿やご飯茶碗を選ぶようにします。
「浄土真宗(西・東)では、これらのお供え物や茶碗割りは俗信として行いません」
ただ、浄土真宗であっても、ご遺族がどうしてもご飯をお供えしたいとおっしゃった場合は、お寺様にその意向を伝えてお供えすることもあります。
なんといっても、「お供えしてあげたい」というご遺族の気持ちを大切にして差し上げたいからです。
ご参考までに・・・
家族葬 奈良 ESS