◆骨葬とは
お葬式の順序は、通夜から始まり、葬儀・告別式―出棺―火葬という流れが一般的になっています。
しかし、北海道の一部、東北地方等の関東北部以北、甲信越地方の一部、中国地方や九州の一部では、葬儀・告別式に先立って火葬が行われています。
通夜に先立って火葬を行う地域もありますが、通夜を行い、翌朝に出棺して火葬をし、午後から葬儀・告別式を行い、終わると墓地に行き納骨という流れが一般的です。
土葬が長く続いた地域に見られる方式で、葬儀の最後はお墓に埋葬する、という考えからのものです。
遺体ではなく、遺骨を安置して葬儀・告別式を行うので「骨葬(こつそう)」と呼びます。
死亡直後は家族だけで密葬にして火葬を済ませておき、時間をあけて遺骨でもって本葬、葬儀・告別式、あるいはお別れ会を行うという方法です。
通夜は遺体を前にして行い、葬儀や告別式の前に、いったん家族で先に火葬を行うケースもあります。
著名人や会社の経営者が、大規模なお別れ会や社葬を行う時に、骨葬でされるケースがみられます。これは、大きな葬儀では準備に時間がかかるため、ご遺体の保全状況を考え先に荼毘に付してから骨葬で葬儀を行います。
◆骨葬の事例
著名人や会社の経営者ではなくても、骨葬になる場合があります。例えば、年末年始にかけての葬儀・告別式は、火葬を家族のみで行っておいて、松が取れてから葬儀のお知らせをしたり、農村部では、仕事が一番忙しい時期には、本葬は日を改めるというような習慣が今でも残っています。
千葉県の一部の地域など伝統的に、先に火葬を行い、お骨の状態で骨葬として葬儀を行う地域もあります。
関西では、遺体を前にしての葬儀が一般的なのですが、遺体の状態やご遺族の事情により骨葬になる場合があります。
一般の方で骨葬になった事例を2つ紹介します。
●ケース1:自宅で孤独死され、死後10日以上経過してから発見された!
ご遺体の状態が非常に悪く、どなたか顔が判別できない状態で、かなりの腐敗臭もありました。しかし、故人様がまだ50代で現役ということもあり、皆さんに見送って欲しいので、直葬ではなく通常通りお葬式をしてあげたいとのことでした。連絡を受けたのがすでに夕方だったので、翌朝一番の火葬予約をし、先に荼毘に付してから葬儀・告別式を執り行いました。
●ケース2:故人の遺志
故人もご子息2人も医師でした。地元で個人病院を経営されていて、患者様も多い病院でした。
故人は生前からもし自分に万一のことがあっても、絶対に医院を休むな!と言い続けていたそうです。
亡くなられたのが金曜日、日程は翌日土曜日が通夜、日曜日を葬儀・告別式にすれば医院を休まずにすみます。
ところが日曜日の火葬場の空きが朝一番の時間帯しかなかったのです。日延べもご提案しましたが、故人様の遺志を絶対に守りたいとのことで、通夜はご遺体を前に行い、翌日火葬してから葬儀・告別式を行いました。
お別れには色々な形があります。亡くなってから慌てて葬儀をすると後悔する場合もあります。故人様やご遺族が納得してお別れができるように、骨葬という選択肢もあります。
万一の時、慌てないためにも納得のいく葬儀をするためにも一番良いのは、予めある程度葬儀に関する準備をしておくことです。
そのためには生前から数社の葬儀社に出向き、事前相談や生前見積りをすることをお勧めします。
ご参考までに・・・
家族葬 奈良 ESS