いつかかならずやってくる体や精神の衰えには誰も抗えません。その衰えに備えて対策を立てておきましょう。
幸い、日本には高齢者を含め体の不自由な人や病気になってしまった人を支援する法律や制度があります。
体力が低下したり体が不自由になったりして、外出がままならない状態になったとき、または寝たきりになってしまったときに
備えるには、「介護保険制度」と「財産管理等の委任契約」があります。
介護保険制度とは、40歳以上の人たちを対象として、市区町村が運営し国や都道府県が共同で支える強制加入の
公的社会保険です。介護が必要と認定されると、介護サービスを受けることができます。
もう一つの財産管理等の委任契約という言葉は始めて聞く方も多いかもしれません。
これは、体が不自由になり日常生活に支障をきたすことになってしまったとき、自分の財産管理や生活上の
事務処理を代理人に行ってもらう方法です。そのためには「財産管理等の委任契約書」を作っておきましょう。
ただし、この契約は本人の判断能力が十分な場合に限られます。
では、認知症などで本人の判断能力が低下した状態に備える場合にはどうすればよいでしょう?
それには「成年後見制度」があります。2000年4月に介護保険制度と同時に施行されたもので、介護保険制度と併せて
車の両輪とも言えるものです。
自分では介護保険制度の利用ができない人のために、後見人が代理として介護の手配や財産管理を行います。
そのときに備えてあらかじめ希望する後見人を指定しておくのが「任意後見制度」です。
この制度を利用するためには「任意後見契約書」を作っておく必要があります。
さらに本人が亡くなったときに備えるのが「遺言書」です。遺言書の役割は、遺産の分割方法に遺言者の意志を
反映できることです。そのため、法律的に有効と判断されるためには、民法で定められた様式に従っていること、
遺言者が誰にも強制されていないこと、などの事実が確認されなければいけません。
最後にもう一つ考えておきたいのが、現代ならではの問題ともいえる「尊厳死」について。
もしあなたが脳死状態になったときに、ただ生命を維持するためだけの延命治療を拒否したいのなら
「尊厳死宣言書」を用意しておくとよいでしょう。
ここで紹介した財産管理等の委任契約書、任意後見契約書、遺言書、尊厳死宣言書は、
ぜひ準備しておきたい4つの書類です。このうち、財産管理等の委任契約書、任意後見契約書、尊厳死宣言書は
「生前三点契約」として覚えていておいて欲しい3つの書類です。
老後に必要な4つの書類
①財産管理等の委任契約書
まだ判断力のある状態で、信頼できる相手に財産管理や療養看護の手続きなどを任せる。
一人に限定せず、複数の人に受任者になってもらうことも可能。
私的な契約なので形式は自由だが、トラブル回避の為には公正証書で作るほうがよい。
(公証役場に契約書の見本があるので参考に)
②任意後見契約書
判断力が低下してきたら、信頼できる相手に財産管理や療養看護の手続きなどを任せる。
必ず公正証書で作成すること。
一人に限定せず、複数の人に受任者になってもらうことも可能。
③尊厳死宣言書(リビングウィル)
ただ死を引き延ばすためだけの延命措置を希望しないとき、その意志を表明しておく。
④遺言書
遺産相続で家族を悩ませず、スムースに手続きできるようにする。
次回は生前三点契約書についてもう少し詳しく取り上げます。
家族葬 奈良 ESS