将来、充実した老後を送るために、ここでは介護保険の概要と問題点を紹介しておきます。
介護保険は、在宅介護を促進するために2000年に施行された社会保険制度です。
介護サービスが必要になったときにヘルパーさんに家に来てもらったり、施設に通ったり入所したりしてかかった介護サービスの
費用の9割を保険でまかなってくれる制度です。
市区町村が行う要介護認定を受ければ、国と自治体が介護費用の補助をしてくれるため、現在は、実際にかかった費用の
1割負担ですみます。
介護保険は40歳以上の人が必ず加入しなければならない公的な保険で、65歳未満の加入者の保険料は、
加入している健康保険や国民健康保険の保険料と合わせて徴収され、65歳以上では、基本的に年金から天引きとなります。
市区町村が運営しているため、国民健康保険加入者や65歳以上の人は、住んでいる市区町村によって納める保険料が
違ってきます。
65歳以上の人は介護が必要になった原因は問われず、介護認定されれば介護保険が使えるのに対し、40歳から65歳未満
の人は一定の病気が原因で介護が必要になった場合のみ介護認定を受け介護保険が使えるようになっています。
しかし今後、社会の高齢化を考えれば、行政の財源不足により自己負担分の費用が増える可能性があります。
そうなれば、年金生活をしている人にとって生活費を圧迫することになるので、今後の動向が注視されます。
次にサービス面と手続きについて見てみましょう。
福祉と医療が一体となった介護を受けたり、また公的サービスに民間のボランティアのサービスを組み合わせたりできるので、
自分の要介護状態にあったサービスの選択幅があるという点で利用しやすいです。
ただ問題は、サービスを受けるまでの手続きの煩雑さです。前回、説明したとおり、介護保険サービスを受けるためには、
申請手続きを行う必要があります。
補足説明をすると、まずは市区町村の窓口で申請をして、担当者が自宅訪問し、本人や家族への聞き取り調査が行われます。
その後、主治医に意見書の作成を依頼し、一時判定が行われます。
次に、介護認定審査会で二次判定が行われ、要介護度と認定有効期間の判定が出されます。
要介護1~5と認定されると、居宅介護支援事業所のケアマネージャーにケアプランを作成してもらうことになります。
要支援1と2の場合には、地域包括支援センターがケアプランを作成します。
以上、申請からケアプランの作成まで少なくとも1か月以上はかかります。介護が必要になった本人や高齢の配偶者が、
ひとりで申請をこなすのは難しいでしょう。こういう場合は、居宅介護支援事業者、介護保険施設に代行してもらうことが
できるので、各市町村の地域包括支援センターに相談するのがよいでしょう。
要介護認定は、要支援1と2、あるいは要介護1~5の7段階に区分けされます。
それぞれに自分に必要なサービスをサービス事業者と契約することになります。
前述の通り、費用の1割が自己負担。施設サービスを利用する場合は、水道光熱費、日常生活費などの負担が生じます。
利用者の所得が低い場合には、申請によって居住費や食費の減額を受けることもできます。
この区分によって利用できるサービスの種類や給付される保険料の上限額が異なります。
支援限度額は、もっとも軽い要支援1で1か月あたり49,700円、もっとも重い要介護5で358,300円です。
主なサービスの料金などは市区町村の窓口で教えてもらえます。
地域包括支援センターには、福祉・医療の専門家による相談窓口が設置されています。
必要な場合は、訪問して相談にものってくれる心強い存在です。
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