遺言書を作る目的はなにか。相続人同士の遺産トラブルを予防することはもちろん、
相続時の手続き上の手間を省くこと、葬儀やお墓のあなた自身の希望を伝えることです。
つまり、あなたと残される家族全員の願いを叶えるものです。
仲が良かった兄弟姉妹でも遺産相続が絡むと「相続」が「争続」になるケースも多いのが現実です。
だから遺言書を作る時には、将来、遺言書の内容を相続人が負担に感じないように、
揉め事が起こらないように配慮することが大切です。なにをどう決めればいいのか分からないという人は、
次のような事柄に注意して考えてみてください。
◆家族の生活状態に合ったものを相続させる
サラリーマンの家に農地を残しても、農業を継ぐのは難しいでしょう。
かえって負担になる場合があります。財産の性質と相続人の生活事情を考えて決めましょう。
◆不動産を共有で相続させない
将来、売却や賃貸しようとしたときに問題になることがあります。配偶者には家と土地とA銀行の預金、
長男には別荘、長女にはB銀行の預金というように、特定の相続人に特定の財産を相続させると、
共有によるトラブルを防止することができます。
◆株や投資信託などの金融財産は運用できる人に
常に変動する金融資産は、投資経験のある人に相続させます。そうでない場合は、換金するか安定した運用
のできるもの、安全性の高いものに変更しておきましょう。
◆不公平感をなくす工夫を
親と同居する子に家を相続させた場合、ほかの子にはバランスをとって預貯金を多めに相続させるなどの
工夫をしましょう。差をつけた場合は、遺言書の付言事項(法的効力のないメッセージ部分)でその理由を
説明するなど、相続人に納得してもらえるように努めます。配偶者など高齢の人に相続させる場合、遺言実行
時にすでに亡くなっているケースも考えられます。
そういうときに備えて、「その場合には、長男に相続させる」などの「予備的遺言」も必要でしょう。
なお、家族にもプライバシーはありますから、秘密を暴露するようなことは書かないでおきましょう。
個人的なことは、遺言書ではなく、個別に手紙で残す方がよいでしょう。