臨終後、最初にお経を唱えるのが枕経と言います。
本来は、重篤な方の側で死への不安を取り除く為に枕元でお経を唱えていたそうです。
今は病院でお亡くなりになるのが大半ですので、ご遺体を自宅や葬儀会館などに搬送された後に僧侶に来ていただいてお経を唱えていただくようになりました。
あるお坊さんのお話しです。枕経のお勤めが終わった後にお話しを始められました。
『人間の寿命は生まれた時から決まっているらしい。』
『老少不定、人間は年寄りから順番に亡くなるのではなく、寿命が尽きたから亡くなったのです。あきらめてください。』
ズバッと言われるのでビックリしましたが、確かにその通りです。
その後『皆さんには、故人様が極楽で菩提を得る為に一生懸命に供養をしてください』と、
葬儀始まりの儀式、葬儀の意味や考え方などを説教されていました。
葬儀の担当をしているといろんな宗教者からお話しを聞く機会があります。
共通していることは、亡くなった方は、必ず良い所(極楽浄土や天国)に行けるということです。
その為に供養やお祈りをしてあげましょう。
遺族の方も大切な家族の行き先が分かれば不安も解消されると思います。
最近では『直葬』や『火葬式』といったお見送りの形が増えつつあります。
直送や火葬式と呼ばれるお葬式であっても、せめて炉前だけでもお寺さんに来てもらってお経をあげていただこうといった場合もありますが、ほとんどが宗教的儀礼は行われず、火葬のみで済まされてしまいます。
本来、葬儀には4つの役割があります。
①社会的役割(社会的な処理)
②物理的役割(遺体の処理)
③文化・宗教的役割(霊の処理)
④心理的役割(悲嘆の処理)
直葬はこの②の物理的役割だけを行っていると言えます。
お寺様の説法を聞いていると、お葬式の4つの役割にはちゃんと意味があって、どれも省いてはいけないことなんだなあ~と考えます。
特に宗教儀礼は④の心理的役割にも大きく関係してきますので、お葬儀には、宗教儀礼が不可欠なものだなと改めて実感しました。
勿論、それぞれの家庭の事情もお有りでしょうから、直葬を否定するわけではありませんが、火葬のみのお仕事は淋しい気持ちになります。
それでも心を込めて故人様をお送りすることに務めていますが・・・
必要以上に派手にお葬式をすることはないと思いますが、せめてできる限りのことはしてあげて欲しいなぁ~と感じます。
ちょっと、愚痴っぽくなってしまいましたが、もう一度お葬式の意味・・・考えてみませんか?
家族葬 奈良 ESS