今日1月11日は『鏡開き』です。
鏡開きとは、正月の間に供えていた鏡餅を下げて、割り砕いて無病息災と延命を祈願し、汁粉や雑煮などにして食べる習慣のことです。
鏡餅をこま切れにする場合は「お供え物に刃を掛けてはならない」という習わしがあることから、包丁などで切らず手で割ったり木槌などで割ります。
その起源は鏡開きの風習の発祥である武家社会において、「餅を刃物で切るのは切腹を連想させる」ということから手で割ったり木槌で割ったりし、慶事なので「割る」という語は縁起が良くないために避けて、「開く」という語に置き換えて使われています。
一般的には1月11日に行われますが、京都など関西地方の一部や社寺では1月4日に行うところがあります。
そもそも鏡餅とは、その年の神様への神饌物として奉納したことに由来しています。神様と人を仲介するものであり、1年間の幸せを願う「晴れの日」に神前に捧げた餅をみんなで分け合って食べることで、
神様からの祝福を受けようという信仰・文化の名残りなのです。
つまり、鏡餅は神様にお供えしてからいただく尊い餅といえます。
「お供え」が鏡餅の別名となっているのはこうしたことに由来しています。
では、なぜ重ねた餅を鏡餅と呼ぶようになったのでしょうか。
ひとつには、丸い餅の形が昔の銅鏡に似ていることからです。
その形は三種の神器を形取っているといわれ、古来から、鏡は神様が宿るところとされていました。
餅は鏡(八咫鏡)・橙は玉(八尺瓊曲玉)・干し柿は剣(天叢雲剣)を表しています。
飾り付けのそれぞれに意味は、
◆橙(だいだい)・・・「代々家が繁栄する」
◆干し柿・・・真ん中に6個、両端に各2個あることから「外にはニコニコ、中(仲)睦まじく」の意味
◆裏白(うらじろ)・・・心に裏表がない清廉潔白を表す
◆昆布・・・喜ぶや子生(こぶ)に通じる
◆御幣・・・清浄を表す
といわれています。
また、鏡餅の「鏡」は「鑑みる(かんがみる)」。つまり良い手本や規範に照らして考えるという意味の言葉にあやかり、「かんがみもち」とよぶ音がしだいに変化して鏡餅になったのだとも言われています。
さらに、鏡餅の丸い形は家庭円満を表し、重ねた姿には1年をめでたく重ねるという意味もあるそうです。
鏡餅の起源は、はっきりとした記録はありませんが、元禄年間のものといわれる書に、丸餅と角餅を重ねた絵が残されており、この頃ではないかといわれています。
いずれにせよ、祈りと1年無事であったことを感謝する気持ちを込めて飾る行為は、非常に歴史のある日本人固有の文化なのです。
以前、勤務していた会社では鏡開きになると、ベテラン女性社員の方がわざわざ自宅から鍋や小豆、砂糖などを持参して、事務所でぜんざいを作ってくれていました。
この日ばかりは甘いものが苦手な社員も少しは口をつけて、全員で無病息災祈願をしたものです。
ご参考までに・・・
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